雑記 2024.7

「関心領域」を観た。
※この後ネタバレがあります。


 タイトルそのまま、登場人物達が関心を寄せる領域をメインに撮って、それを取り囲む無関心のおぞましい部分を観せる映画…みたいな事は観る前から知っていた。
 観終わって実際そうだったなあと思ったが、そのおぞましい部分以上に1番怖いと思ったのは、観ている自分もその光景に無意識に慣れようとしていた事だった。
 初見の映画を観る際、どんどん進んでいく物語に置いていかれないため世界観にいち早く"慣れる"というありふれた鑑賞方法を逆手に取られた感じで、また自分がその見方に慣れきってしまっているせいで、そう観ないよう抗うのが非常に難しい。
 実際画面に映された映像を観ながらだんだん慣れて安心している自分がいるのがよく分かった。
 無関心を貫く家族の心情に同感する気さえ起きそうなほど。
 なるほど慣れることで得られる心の安定は想像以上に大きい。
 これは都合のいいように解釈する思い込みにも似た本能、恐怖回避思考や生存戦略なのかもしれない。

 話が進むにつれ、隣で起きている惨事に慣れきった登場人物たちの倫理観や価値観を現すシーン、セリフも出てくる。
 もう他人事として見れなくなった観客に向かって、日常生活のルーティンを行うのも人間を毎日出るゴミと同じように扱うのも、思考を辿れば元は同じだと言われたようだった。

 原作小説はまた表現の仕方が映画と全く別らしいので、いつか読んでみたい。

emumæɯnɯǝ

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